金沢の稀少伝統工芸である加賀象嵌のお話を中心に、その他趣味のお話もちょろちょろと…。


by pa-pen
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象嵌花器「雲奏」

現在開催中の「金工4人展」。
なかなか順調で、沢山の方にお越しいただいております。
加賀象嵌の事を知らなかった方が、この金工展をきっかけに興味を持って下さったりして…
とっても嬉しいです!!!

興味はあるけれど遠くて行けない…

という方の為に、毎度おなじみバーチャルグループ展。

本日は2点目です。

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象嵌花器「雲奏」 非売品
W25cm×D25cm×H20cm
黒四分一、銀、白四分一、上四分一、並四分一内三分、並四分一外三分、赤銅、黒味銅


何回も失敗して、ようやく完成して公募展に出品しても落選したという涙の作品です(苦笑)。



2006年から2008年まで、完成に2年もかかっております。
一度仕上げたのですが、仕上がりに満足いかず…
一年置いて、もう一度作り直しました。

でもまだ納得いっていません。

金属の厚み等、物理的にもうやり直しは出来ないので、結局満足いかないまま…
その為に非売品です。

もし価格をつけるとしたら¥650,000-です。
ビックリするでしょ(笑)。
でもこれ、こういった作品の中では安い方です。



この作品は、雨上がりの空を見ていて思いついたデザインです。

シュークリームのようなこっぽりした雲がいくつも浮かんでいて、
太陽の光があたると影が出来て、雲の形がより立体的に浮かんで見えて…
その隙間から漏れる光と、まだ少し降っている小雨と…
それらが風でゆっくりと流れていて…

本当にとっても綺麗だったんです。



当時、象嵌作品はのっぺりしたデザインのものが多い事に不満を抱いておりまして
空間を感じられるようにするにはどうしたら良いだろう…と色々と研究している時でした。

加賀象嵌の特徴でもある「重ね象嵌」という技法。
象嵌を重ねるという行為そのものにも意味を持たせたくて、模索している時期でもありました。

ただの模様として無意味に重ねたくなかったんですよねぇ…。


空間を表現するということで、基本のデッサンの技法に立ち返り、
粗密やコントラストというものをもっと大切にしようとか…


色々考えていましたね〜。

で、その過程で出たのが、今でも多用している点象嵌による陰影の表現です。

光が当たった雲の立体感と、この点象嵌の表現はマッチするんじゃないか!?

しかも光と雲の関係や、広がる空を表現をするということは、奥行きを表現するという事で、
象嵌を重ねるという行為にも意味がでるんじゃないか!?

思いついた時は鳥肌が立ちましたが…

結果としては消化不足ですね。

もっと何か出来たんじゃないかなぁと今でも色々考えさせられる作品です。



2点目の段階で既にお気づきでしょうが…


普段あっさり発表している作品ですが、色々考えているんですよ〜(笑)。

あまり考えずに制作されている作家さんもいらっしゃいますが、私は色々と1つ1つの技法やデザインに対して意味や目的を考え込んでしまいます。

作品の事を考えているのに、いつのまにやら人生や世界についてまで想いがいってしまうこともしばしば…(苦笑)。

しかも考えだすきっかけが様々なので、よく突然フリーズしております。

もし私を見かけて、あらぬ方向を見てボヘ〜っとしていたら、頭の中ではここに書いてあるようなことを考えているんですよ〜。

24時間365日、わりと作品について考えております。
もはや病気ですね。

ちなみに「雲奏」というタイトルですが、「うんそう」と読みまして、造語です。

前述の光景を見ていたとき、なんだか音楽が聞こえて来たような気がして…
雲がこのメロディを奏でているんだな〜と思った所からついたタイトルです。

ミュージシャンなら、そのとき聞こえた音楽を曲にするのでしょうね〜。
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Commented by ゆうこ at 2009-03-02 12:07 x
「バーチャルグループ展」ありがたいです!
行けたら行きたいと思っていましたがなかなか都合がつかないもので・・・
素敵な作品ばかりでうっとりです☆
Commented by pa-pen at 2009-03-02 21:30
☆ゆうこさん

こちらこそご覧頂きありがとうございます!
いずれ機会があれば、実物も是非ご覧頂きたいです。
いつか見て頂けるように、出来るだけ多く発表の場を持ちたいと思っております。
頑張りますね〜。
Commented by かすてん at 2009-03-03 14:43 x
こういう立体形になる前の素材はもちろん平たい金属板なんですよね?
Commented by pa-pen at 2009-03-03 21:41
☆かすてんさん

私の作品の多くは板から形を作り出しているのですが、こちらは鋳物屋さんに頼んで鋳込んでもらっております。

型だけ石膏で自分で制作して、それを鋳物屋さんに持って行っているんですよ〜。
Commented by かすてん at 2009-03-04 22:02 x
>こちらは鋳物屋さんに頼んで鋳込んでもらっております。
 了解。あのpa-penさんが魔法使いのおばぁさんになって金属板をトンテンカン叩きながら朝になるとあのような形に仕上げている姿を空想しておりましたが、これをお聞きして空想だけに終わって良かったです。
 ご本人には気に入らないところがあるのかもしれませんが、大気の層を表しているような帯の模様と手前の雲との間に光の透過率の違いがあって立体感遠近感が出ているのが良いですよ。
Commented by pa-pen at 2009-03-05 03:55
☆かすてんさん

魔法使いになれれば、もっと仕事が早く進んで良いんですけどね(笑)。

こちらの作品、他の作品とは比べものにならないくらい元手がかかっておりまして、それもあって余計に完璧に仕上げたかった思いが強いのですが、お褒めいただけるとその思いも和らぐので嬉しいです。
Commented by wasanegi at 2009-03-06 19:49
これは『例の』お花を生けてた花器ですね!
花がボリュームありすぎて、せっかくの象嵌が見えなくなってしまったという(笑)。
それにしても、お値段にどびっくり。たかー。
私が将来超超お金持ちになったら、税金対策として購入させて頂きます(笑)。
Commented by pa-pen at 2009-03-07 09:30
☆wasanegiさん

そうです。
例の花器です(笑)。

値段だけ聞くとひきますが、制作期間が少なくても3ヶ月かかっていますから、原価を引いて時給換算すると損しているくらいの価格なんです(汗)。

そういった苦労がなかなか伝わらないのが工芸の辛い所ですねぇ…。

お金持ちになられるのを心待ちにしております(笑)。
by pa-pen | 2009-03-02 11:00 | グループ展「金工4人展」 | Comments(8)