金沢の稀少伝統工芸である加賀象嵌のお話を中心に、その他趣味のお話もちょろちょろと…。


by pa-pen
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オーダー品☆ブックマーカー

タイピンと同じように、送別の品として御注文承りました。

ちょっと変わったオーダーで正義の女神をモチーフとしたブックマーカーを…とのことでした。

正義の女神は目隠しをして手には剣と天秤を持っておりまして…
どのようにブックマーカーとしてまとめるか色々と悩んだのですが…

悩んだ結果こうなりました~。

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実際に目隠しをした細工をすることも出来たのですが、そうするとどうしても厚みが出てしまいます。
ブックマーカーとして厚いのは致命的。

ということで、髪の毛で目隠しをするという方法をとりました。


できるだけ薄く…というのが今回の品の一番大切なポイントです。




普段ならば、広い面は面象嵌(平象嵌)という技法を用いて表現するのですが、その場合はある程度の厚みが必要となります。

今回は「出来るだけ薄く」が目標です。

接合象嵌という技法を使い、板厚を薄く保つことにしました。

まずは切り出し…

d0128864_15393290.jpg


そこにぴったり合うように、別のパーツも切り出します。

d0128864_15395978.jpg


全てのパーツを同じように切り出しロウ付していきます。
接合象嵌とは、ピッタリと合うように切り出した金属パーツをロウ付する技法のことです。


デザイン画をもとに、細かい象嵌を施していきます。

d0128864_15414096.jpg


地金の板厚が1mmと既に薄いため、象嵌も地金を突き破らないように注意しながら作業を進めます。

象嵌が終わった状態がこちら↓
d0128864_15403072.jpg


これを金ヤスリと耐水ペーパーを使い綺麗に研磨していきます。
研磨が終わったら、脱脂(脂分を取り除く作業です。)をして、着色します。

d0128864_15404254.jpg


脱脂後はこのように↑大根おろしに浸すことで、酸化膜を除去するんですよ~。
こうすることで表面全体に着色液が行き渡り、ムラなく仕上げることが出来ます。
昔からずっと続くこの手順。不思議ですよね~。


着色は硫酸銅と緑青と水を混ぜた液で煮込む「煮色着色」という技法を用います。
こちらのブログで何度も説明していますが、着色と言っても、決して色を塗ったりしているわけではないんですよ。
薬品で人工的に錆びさせているとイメージしてもらうのが一番良いかもしれません。


四分一(銅と銀の合金)や赤銅(銅と金の合金)はわりと簡単に着色することが出来るのですが、銅は綺麗な色に仕上げるのが非常に難しい金属です。

d0128864_15422947.jpg


温度を65度(煮色液の濃度にもよりますので、鰻屋さんのタレのように、作家それぞれで濃度や温度は違います。)に保ち、常に液を攪拌し(混ぜないと、液の上のほうと下のほうで濃度が変わり、ムラの原因となります。)3~6時間つきっきりで着色します。

煮込む時間で色の赤味が変わってきます。
長時間煮込めば煮込むほど赤味は強くなるのですが、今回は3時間で…。


天秤部分を真鍮で制作し、本体と組み合わせて完成した品がこちら。

d0128864_15442854.jpg


象嵌栞「正義の女神」 ¥32,000-
(銀、銅、赤銅、上四分一、金、真鍮、金箔)

裏面には金箔を貼ってあります。

本に挟むと、天秤の部分が外に出るようになっています。

ペーパーナイフとしても使えます♪

春はポカポカと暖かいですから、休み時間などに外で本を読んでいただきたいですね~。
もちろんその時はこの子をお供に♪

楽しく読書をしていただく助けになればと思います☆
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Commented by ゆうこ at 2009-04-13 22:34 x
素敵!
製作の過程がみれて勉強になりました。
こんなブックマーカーが本からチラってみえたらかっこいいですね~
Commented by pa-pen at 2009-04-14 22:13
☆ゆうこさん

ありがとうございます♪
なかなか制作工程は見られる機会がありませんからね。

制作している本人でも、こういった工程は面白いですし、できるだけ多くの方に知ってもらえればと思っています♪
by pa-pen | 2009-04-11 15:41 | 加賀象嵌(完成品) | Comments(2)