随想録その5「伝統工芸に対する世間との認識のズレについて」
2021年 05月 30日
雨の日が続いておりましたが、昨日今日と晴れ間が見えております。
金沢もそろそろ梅雨入りでしょうか。
金沢もそろそろ梅雨入りでしょうか。
今年は長梅雨になるそうで…野菜の生育にも影響しそうですね。
今夏は野菜が高くなる予感がします。
随想録その5です。
今回は伝統工芸に対する世間と私の認識のズレについてです。
伝統工芸の仕事をしていて、人から言われ違和感を感じる言葉があります。
「お若いのに、こんな仕事をされて偉いわね。」
という言葉です。
よく言われるのですが、その度にいろいろと引っかかります。
あまり苦労していないからか(笑)実年齢より多少若く見えるところはあるかもしれませんが、それでも今年40歳です。
世間一般では、悲しいかな立派なおばちゃんです。
それが若いと捉えられてしまう。
要するに、伝統工芸の世界はお年寄りばかりだと思われているということです。
そして「こんな仕事」という言葉。
「こんな」という言葉はあまり前向きな言葉ではありません。
おそらくですが、伝統工芸の世界は辛く厳しい世界だと思われているのではないでしょうか。
最後に「偉い」という評価。
どうして偉いんでしょう??
さっぱりわかりません。
なぜ「偉い」という評価になるのか…。
考えてみたのですが、これまたおそらくですが、メディアで伝統工芸に携わる若者が紹介される時は
「担い手が少ない中、それを守る若者」
という紹介のされ方が殆どだからではないかと思うのです。
まとめると、世間一般の伝統工芸のイメージが
「辛く厳しい世界で、お年寄りばかりで担い手の少ない中、若い子がそれを守るために頑張っている。」
というものなんでしょうね。
では実際はどうか…
私個人的な伝統工芸への思いは
「やらせていただいている。」
です。
ただただ好きなことを周りに多大な迷惑と心配をかけながら、ここまで続けさせて頂いている。
そんな想いが強いです。
未来を担っているとか、そんなことは微塵も考えなくなりました。
始めたばかりの頃は「自分がこの業界を守っていかなくては!!」などという想いもありましたが、今になって思えばなんと烏滸がましい考えだったのか…と恥ずかしくなってしまいます(苦笑)。
食べられるようになるまで、15年はかかりましたし、それまで家族や友人に多くの心配をかけました。
今現在も、食べられるようにはなりましたが、正直こう言った仕事は水物ですし、この先どうなるかわかりません。
業界を守るより前に、自分の生活を守らねばなりません(笑)。
今は「どうすれば自分が楽しく制作できる環境を守れるか。」ということだけを考えて日々活動しております。
それが結果、未来の伝統工芸を守ることにつながったならば、そんな嬉しいことはないなぁ…というスタンスです。
確かに辛く厳しいことはありますが、それはどの業界も同じですし、伝統工芸の世界に限ったことではありません。
自分が望んで入った世界ですし、やらされているという想いを抱いたことは一度もありません。
自分の活動の将来を見据えて、自分が活動しやすいように今のうちに準備をしておこうと思い、宣伝活動や教える仕事などをしておりますが…
誰かの為ということはなく、全て自分の為です。
自分のやりたいことの為に、多くの方を巻き込んで申し訳ないな…
とよく感じます(笑)。
世間のイメージと唯一ズレが少ないのは、若手が少ないということでしょうか。
ただですね…若手も少ないですが…そもそも伝統工芸人口が少ないんですよ(笑)。
少ないのは若手だけではないんです。
技術的な面では、まだまだ未熟で若手ではありますが、伝統工芸の全体の層としてはぼちぼち若手は卒業です。
そろそろ中間管理職的な立ち位置になって参ります。
「伝統工芸では食べて行くのは難しい」というのがこの業界の一般的な現状ですが
「工夫次第で食べて行くことはできる」と思って貰えるようにしていきたいなぁという想いは、唯一対外的に持っています。
私が頑張って加賀象嵌一本で食べていければ、この先続く子もいるかな??とやんわりと思っています。
ですので、この記事をご覧の皆さん。
是非私の作品をご購入くださいね(笑)。
私が食べていければ、それは自ずと未来の担い手が育つ道となるはずです(笑)。
作品が載っているホームページはこちら↓
by pa-pen
| 2021-05-30 00:00
| 随想録
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