随想録その6「貧乏を体験して良かったことと悪かったことについて」
2021年 05月 31日
予約投稿という技を手に入れましたので、時間がある時に書き溜めて、小分けに更新する術を得ました!
これで今までよりは更新頻度が上がるかと思います!!!
随想録その6です。
タイトルの通り。貧乏を経験して良かったことと、悪かったことについてです。
実家はごくごく一般的な家庭でしたし、結婚相手もお金に困ることのない職業でした。
ではいつ貧乏を体験したのか…。
離婚後です。
実家の父は今でこそ優しい父ですが、若い頃はなかなかに厳しい人でして、離婚を告げた時に返って来た言葉は
「家に帰れると思うな。」
でした(苦笑)。
そもそも帰る気はありませんでしたが、その言葉が最後の決め手となり、離婚後は1人で生活を始めました。
若くして結婚しましたので、実家暮らしからそのまま結婚生活に移行したこともあり、人生初の一人暮らし。
うまくやっていける!!!!と思っておりましたが、甘かったですね〜〜〜(笑)。
加賀象嵌だけで食べていけるわけもなく…
バー2軒と居酒屋、3軒バイトを掛け持ちして暮らしていました。
さてさて…タイトルにある「貧乏」ですが、どれくらい貧乏だったか…。
恥を忍んで書きますが、家賃滞納、携帯を止められる、電気を止められる、を経験するくらい貧乏でした。
かろうじて水を止められることだけはありませんでした…。
何故そんなに貧乏だったか。
材料と道具を買っていたからなんですねぇ…。
お金が入ったら道具と材料を買う。
後先考えればいいのに、考えずにとにかく買う。
買わないと象嵌の仕事が回らないから。
とにかう作品をちゃんと作れる環境を整えなければ象嵌では食べていけない!!と買いまくっておりました(苦笑)。
なぜか就職するという考えはなく(理由はあるのですが、それはまた追々…)、とにかくバイトをこなし、親に借金をし(全部返しましたよ)、泥水啜りながら生活しておりました(笑)。
あの当時は本当に色々な方にご迷惑をおかけてしまいました。(今もですが…。)
おかげさまで現在は、年齢に見合った収入のもと生活しております(笑)。
(といいつつ、今は新型肺炎の影響でなかなかに苦しい状況ですが…。)
で、タイトルの話になります。
まず、貧乏を経験して良かったこと。
「お金の大切さを知っている。」
これに尽きます(笑)。
お金の大切さ、お金を稼ぐことの大変さを身に沁みて感じておりますので、お金を稼ぐことに対して非常にシビアです。
要領よく儲けようということではなく、その逆です。
皆さんが汗水垂らして得たお金を払っていただくわけですから、どんなに安い仕事でも手を抜かず、精一杯応えるようになりました。
貧乏を経験していなかったら、安い仕事は舐めていたかもしれませんし、手を抜ける仕事は抜いていたと思います。
貧乏を経験したおかげで、どんな仕事にも真摯に取り組めるようになりました。
そしてそのお陰で、仕事が次へ次へと繋がっていったように思います。
では貧乏を経験して悪かったことは何か。
「モノの価値の基準が低くなってしまった。」
これは私の仕事にとって非常に致命的です。
抜け出すまでに長い時間を要しました(汗)。
どういうことかと言いますと…
お金がない状態が基準になっておりますので、1万2万のものが非常に高額に感じてしまい、自分の作品に対して思い切った値付けができなくなってしまうんです。
価格はそのまま自分の作品の価値にも繋がります。
自信が持てず、安い価格しかつけられないというのは、実はこの仕事にとっては非常にネックとなります。
もちろんお手頃価格のものもあっても良いのですが、自身の価値をしっかり守ろうと思うならば、それに見合った値付けが必要となります。
しっかりとした値付けが出来るようになれば、そこにプライドも持てるようになり、作品の質も上がります。
貧乏が染み付いてしまい、なかなかその良いサイクルに切り替わることができないという問題がありました。
抜け出す為にどうしたか。
節約して、良いものを買うようにしました。
安いものをたくさん買うのではなく、ちょっと我慢して良いものを買う。
身の回りが少しずつ豊かになると、染み付いていた貧乏も洗い流されていきます。
贅沢するわけではないんです。
100均の食器ばかりの食卓から、作家さんの食器の食卓になる。
3回洗濯したら毛玉だらけになるような安い服から、長く着られる服に変わる。
ちょっとずつちょっとずつ自分を慣らして現在に至ります。リハビリです(笑)。
貧乏は経験しないに越したことはないですが、非常に良い経験ができたと思っております。
あの時代があったから、今の生活に有り難みを感じます。
何事も経験ですね。
そんな私の制作した作品が見られるのはこちら↓(笑)
オーダーも承っておりますので「contact」よりお気軽にご連絡くださいませ。
by pa-pen
| 2021-05-31 00:00
| 随想録
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